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”この人に直撃インタビュー”といたしまして、今回は記念すべき第1回! 最近、カウンターで寿司を握っている顔が異常に日焼けしていると噂の、サンチャゴ市内にある日本レストラン、ASKAオーナーの伊藤 純さんに“日焼けの原因”でもある南米最高峰6962mの山“アコンカグア登頂成功”についてインタビューしました。インタビューは、やはり“ASKAで食事をしながらでしょう”という意見から、まだ日も暮れぬ時間から広報WEB委員3名の突撃インタビュー隊で、寿司カウンターを陣取りました。                                   

                                                                                                      インタビュー 2005年2月25日


真剣に包丁を握る伊藤さんの顔をシゲシゲとみるインタビュー隊。

確かに、日焼け顔。よくみると白いメガネの後がクッキリとついています。。

インタビュア:今日はよろしくお願いします。では早速ですが、今まで伊藤さんのご趣味が登山とはまったく知りませんでしたが、チリに来られたのもきっかけはやっぱり山だったのですか?

伊藤氏:そういうことになるかな。。イヤイヤ・・それは冗談で、もちろん日本料理店を始める為にですよ。(笑い)でもね、ここに来る前、ニューヨークにいたんだけどその時にアコンカグアのパンフレットを読んで、何回も行こうと思っていたので、チリにいるのも「山がなんらかの動機にはなっている」はずだと思いますね。

— チリにはいつからいらっしゃるのですか?

伊藤氏  94年からかなー。基本的に山が好きだから、この国のおもしろさも山しかないんだよね。
来た頃は暇があったら、近辺の山とかよく登ってましたよ。

— チリの山ですか?

伊藤氏 そう、サンチャゴ周辺の名前もない山とかね。その頃は店のタイムテーブルを日曜と月曜の昼は休みにしてね、日曜日に山へ出かけて、その夜は山で寝泊り!月曜に帰ってきてそのまま店を開けて、ビール飲む!というパターンにしてたけど、まあ・・・今は経済的にもそんな生活やってられないからやめたけどね。。。

— 登山の難しさとは?

伊藤氏 山の天候って毎日違うんだよね。いつもは最悪のこと考えて準備しているんだけど、山の情報を聞いて、これは大丈夫と荷物をコンパクトにする為持っていくものを削ったりするでしょ、そうすると実際登ると、情報とまったく違っていてひどい目にあったりするんだよねー。。

特に温度設定は大切で、例えば天気のいい日は運動量が激しくなるので、もっと軽い荷物をもってくればよかったと後悔するときもあるけど、やっぱり最悪のことを考えると、荷物が重くても厚手の物を持っていくべきだとか・・・ 

さっきも言ったけど山の天候は毎日違うでしょ、登るとき暑いからとリュックの奥にしまっってしまったジャケットが、いざ登り始めると必要になってきたわけ、でも山に入ると無気力になってしまって、リュックの奥に入ってるものさえ探すことが億劫になるんだよね、だから出さずに無理して登るでしょ、そしらたもう寒くてダメ。そうなった頃にはすでにリュックから荷物を出せるような場所も次の休憩地までないわけ、途中じゃあ危なくて。。このように朝出発するときの服装装備が狂うということは、よくありますねー。これが一番苦労するんですよ。

— ところで山に登るときは何キロぐらいのリュックを担いで登るんですか?

伊藤氏 うーん。だいたい25kgかな。そのうち水が4kg。

水が一番大事だからね、登山中もかなり飲まないと身体がついてこないから、無理やりでも水は沢山持っていきますね。

— でも、水って途中で補給できたりするんですか?

伊藤氏  まあできるといえばできるけど、雪を沸騰させてポットにいれても、すぐ凍ってしまうから、それをストックで砕いて飲むんだから。。。また凍らないように、ポットを二重に巻いてそれをリュックの中にいれてても寒くて凍ってしまうんだよね。

— それって相当寒いようですが温度はどれくらいなんですか? 

伊藤氏 冷凍庫の中を想像してみて!そういう感じ。だいたいマイナス30度くらいかなー。かなり冷たいよ。

— へーーー。 それに風も吹いているんですよね?

伊藤氏 そう。風が吹く日は輪をかけて寒いからねー!!

— 雨も降りますか?

伊藤氏 イヤー雨は降らないですよ。降るとすればあられか雪のどちらかかな。

— 今回のアコンカグア登頂は年末年始にかけて行かれたんですよね?そのときの天候はどうでした?

伊藤氏 今回は雪が結構降ってましたね。天候が悪くて2日間はテントから出られなかったからね。

— 登頂には何日間必要でしたか?

伊藤氏 登り始めたのが、12月27日で頂上に着いたのが1月2日、下りてきたのが1月4日だったかな。

— 27日に出発した地点の標高はどれくらいあるのですか?

伊藤氏 メンドーサから行くPuente del Incaという場所だけど、あそこが2720mで登山の出発点ですよ。

そろそろなんか食べますか?(急に営業モードに)

— そうですね。何か頼みましょうか?

そういえば最近“今日のお薦め料理”にアコンカグアロールというのが登場してますが、これはやっぱりアコンカグア登頂に関係してる???

伊藤氏 そうそう。値段も山の高さと同じ、6962ペソ!これ、登頂記念として、山で寝ないで考えたんだから。。(笑い)

— それで、中身は?

伊藤氏  イヤ、、ものは太巻きですよ。太さがだいたい、うーん6cmくらい??で 長さが19cmくらいかな。
中身が普通の太巻きとは違うから値段も高い!あとは、食べた人だけの秘密だから・・・・食べてください!

伊藤さんに、強くお薦めされてしまい、ここで頼まない訳にはいかなくアコンカグロールを頼むインタビュー隊。

— せっかくだから じゃあそれを1つ注文しましょう。     

真剣な表情で、アコンカグアロールを巻く 伊藤さん。(右)

でもよくみればサングラスのあとがくっきり。

— それ巻いているのは鮭ですね?

伊藤氏 そう 鮭・・・ぜんぜん関係ないけどねー。。。(笑い)(いきなりメジャーを取り出し、巻物の直径をはかりだす伊藤さん。)

あっ これ7cmあるよ。はい、どうぞ!(インタビュアーの目の前にだす) これ、山にこもって考えたんだからね。傑作は単純にはできないですよ!!ハッハッハッ・・

中身はクレソンの茎に卵焼き、鮭フレークにガリ。色とりどりで綺麗です。でも女性には一口でガブッ!!とは無理かな。。。  

(またインタビューに戻って)

— 山って一日に何メートルくらい登るんですか?

伊藤氏 スケジュールを決めていくんだけど、4000mを越える所からは、だいたい1日300mから400mかな。一泊はその下で泊まって、何回も登り下りしないといけないから。

— 一回で一気に登るんじゃないんですね。

伊藤氏 そう、何回も登り下りを繰り返して、身体を慣らしてから目指す場所に登るようにしてるからね。

— 山での睡眠は?

伊藤氏 はっきり言って上の方までくると、睡眠はとっているのかとっていないのか分からない状態ですよ。まず風があるので、テントが鳴ってうるさいし、でも音よりもいつテントが吹き飛ばされるかというのがもっと心配で寝れないかなー。。。 

テントではやることもないし、というよりも何もしたくないから熊の冬眠状態!(笑い)

— 山に登る際、食事は何を摂られているのですか?やっぱりインスタントもの?

伊藤氏 ほとんどそうですね。ごはんやスープとか・・・でも何日かすると食欲なくなってくるんですよ。

— そうでしょうね。あと高山病とかもでてくるでしょうし。頭痛の薬とかも持っていったほうがいいんですよね?

伊藤氏 薬は頭痛薬、それと持病に“通風”があるから、その薬ね。 薬を忘れていって、病気になるとほんと遭難につながるから、絶対忘れられない物の1つかな。

— アコンカグアには一人で登頂されたのですか?

伊藤氏 いや今回はアメリカ、ドイツの人たちと一緒になったかな。一人でいくと気合が入るようで入らない。でもかえって同じレベルの人と登らないと、個人差が出てきてスピードがばらばらになり、遅い人はなんとかパーティーにくっついていこうと必死になり、これがまた大変なんだよね。確かに一人で行くのはマイペースで行けていいけど、荷物もいっぱい持っていかないといけないしね。

4370m地点、Plaza de Mulas にベースキャンプ地があるんだけど、そこには各国の“山野郎”が何百人とたむろっていて、そうね。。。テントだけでも100はあるんじゃないかな。ヨーロッパ、アメリカ、日本のパーティーなど外国人がいっぱいで、ヘリコプターとかで食料を運んできたりしてるね。

— でもそんなにいっぱいの人が一気に登れるんですか?

伊藤氏 テントは平坦なところに集中しているから日によっては押し合いへし合いになるけど、でも、100もテントがあるわりには、その人たち全員が一緒に登るということは旨い具合にないね。

うまく出てって、うまく入ってくるっていうか。

— ところで、きたない話ですが。。是非、聞きたいんですけど、排泄物とかはどうしてるのですか?

伊藤氏 えーっ、めんどくさかったら多少は我慢かな!!(笑い)

4300mのベースキャンプ地には簡易トイレがあってそこを使うけど、もしその他の場所でやったりして見つかったら罰金とられるからね。でももっと、上の方に行くとトイレもないから、岩陰に隠れてやったりね。

— 岩陰って、女性もいるでしょ? どうするんですか?

伊藤氏 えっ!女性も関係なしでやってますよ!でも大きい方 ?!。。じゃあなくてね。

まあ、みんなエチケットで見てみぬふりをしてるっていうか、そんなこと気にしなくなってしまっているかな。だって、人に見られるのがイヤだから崖っぷちとかで隠れてしようとすると反対に突風が吹いて吹き飛ばされて落ちることもあるからねー。風速100mを越える風が吹く事だってあるから。。やっぱり安全の為には平坦なところが一番。僕も以前に岩陰で用を足してて、ふと前をみたら同じようにやってる人がいて思わず目があってしまいアレーッということもありましたけどね。(笑い)

— 今までに遭難しそうになった経験とかはありますか?

伊藤氏 ありますよ。前回アコンカグアに挑戦した時に5750m付近で胃潰瘍が発生し、ほんともうダメだと思ったよ。

— アコンカグアには今まで何回挑戦したのですか?

伊藤氏 今回で3回目。2回までは頂上に行けなかったからね。1回目は丁度5年前かな。コンディションよかったんだけど、頂上付近で大吹雪にあってしまってしかたなく下山。。 頂上から70m付近だったんだから。。

それで3年前にまたリターンしたんだけど、さっき話したように胃潰瘍になっちゃってねー。

— そんなつらい思いをしてまで登りたいんですね。

— 登るのには確かお金がいるんでしたっけ?

伊藤氏 時期によって違うけどちょうど12月15日から1月末まではラッシュ時でもっとも高く確か300ドルくらいだったかな。でもこれはクライミングの場合ね。5日間のトレッキングビザもありそれなら100ドルしないと思うよ。

5年前に言ったときはクライミングも100ドルか120ドルくらいだったけど、経済落ち目の国のくせに最近はなんでこんな値上がりしたかねー。

— トレッキングとクライミングの違いはなんですか?

伊藤氏 トレッキングは4300mまで、クライミングはそれ以上登ること。トレッキングはすばらしい自然を5日間で体験できるいい機会と思いますよ。

(飲み物の追加を注文しようとするインタビュー隊)

— アコンカグアロールというのがあるけど、飲み物にも何かスペシャルあるんですか?

伊藤氏:ありますよ。(得意げに)アコンカグワサワー!

— なにそれ?(みんな一緒に)それって注文できるんですか?

伊藤氏:実は1.5リットルも山の水が残ってて、それを凍らしてあるからそれでピスコサワーをつくるわけ。
それがアコンカグアサワー。

— 料金は?

伊藤氏 これも6962ペソ

— それは高いねー。飲めないから、じゃあビールもう一本。

(またインタビューに戻る)

— 下るのと登るのではどちらが大変ですか?

伊藤氏 やっぱり登る方でしょう。下りの方が荷物も減ってるし、重い荷物持って登るよりはぜんぜん楽。頂上までは約10日かかって登るけど、下りるときはへたすると1日で下りてくることもできるからね。登る時はジグザグに上がって、下りるときは直線で下りる。下りるというよりは滑っていくって感じ。

— 登り道には跡がついてるんですか?

伊藤氏 まあ、誰かが通ると跡がついているけど、足をはずせは下に落ちてもう終わりだからね。だって、斜面は30から50度くらいの角度よ。知ってる?スキーヤーの三浦雄一郎。あの人はすごいよなー、あの斜面を頂上からスキーで降りていったんだから。。  信じられないね。

— 最後頂上への道のりは?

伊藤氏 ふつうは、5900mくらいから頂上アタック。

6000mにキャンプを建てることもできるけど、でもやっぱり6000m以内で宿泊するのがよいからその辺に拠点をおき、荷物は置いていくんだよね。持っていくのは水とパワージェルみたいな食べものだけ。。この場合は1000mくらいを一気に登り下りてくるわけ。

— へーそうなんですか。。、このような最後のアタックがあるんですね。それで頂上にはどれくらい滞在してました?

伊藤氏 長くても30分かな。。出発したのが朝の4時、頂上に着いたのが午後1時。約10時間、もちろん休憩も入れてね。

— 山を登る為にかかせないトレーニングとかはあるんですか?

伊藤氏 ありますよ。いつもやってるけど、土日はジョギングと腕立て伏せ、腹筋、バーベルは毎日。

これは昔から続けているトレーニングだけど、やっぱり登る前はもっと気合いれてトレーニングに励みますよ。

— 気合を入れてって1ヶ月前くらいからですか?

伊藤氏 そう強化トレーニング(笑い)
実はお酒も止めようと心がけてるんだけど、なかなかねー(首をかしげる。出来ないという意味?)。。これが料理屋の悲しいところかな。。
そう でもね!前回登るときウィスキーのミニュチュアボトルを持っていこうと用意したわけ。でもこれが忘れていったんだよねー
(悔しそう)。その為にはもう一回行かないといけないかなー。

ハハハッ そんなことないっか。。

— 登山道具はどうされているんですか?

伊藤氏 超一流のものを買うのはここでは難しいかな。まあ通信販売とかもあるけど、でも基本的に僕はここで買ってるけどね。でも、以前ここでマイナス20度まで大丈夫というわれる手袋を買ったんだけど、それが実際使ってると途中で感覚がなくなってきて凍傷になりかけたんだよね。これはやばいと思ってポケットに手を突っ込みながら登ろうとしたんだけど、これじゃバランスがとれなくて危なっかしいからどうしようもなかった。

手袋1枚でも、テントを張る時一瞬はずしその間に風で飛ばされたらもう終わり。、このような不注意で危険なことが一杯あるからね。あと、テントが折れたり、ストックの金具も飛んだし、ジャケットのジッパーが閉まんなくなったり。。 新品に買い換えるしかないっか!

でもほんと山は必ず何か起こる。起きないということはないよ。

— 最後に登山の魅力は?

伊藤氏 普通の人からみると、なんで好き好んで登るかなと思われるかもしれないけど、登山というものは頂上まで行かないとやってる意味がないんだよね。それに周りの人間が中々入り込めない自然に接することができる。。これはやっぱり価値あるかな。

登ったときの達成感を味わいたい人は何回も挑戦するでしょう。そういえば最近日本でも世界5、6大陸の頂点を求めようというのが流行っているみたい。例えばロシアのエルブルース(5633m)、アラスカのマッキンリー(6194m)とかね。世界中の山の頂上を目指すのが今はパターンになっているみたいね。

— 今年もしくは来年の予定は?

伊藤氏 もう一回アコンカグアかなー。。(冗談で)まだ決めてないけど、キリマンジャロとか登ってみたいんだよね。

山に興味のある方は是非ASKAを訪れてみてください。
カウンター越しにオーナーの伊藤さんと山について熱く語り合えるでしょう。 


アコンカグア登頂の日程


2004年12月24日  サンチャゴ出発  メンドーサ到着

2004年12月25日  休み

2004年12月26日  2720m地点 Puente del Inca着

2004年12月27日  Puente del Inca 出発 

Parque Provincial Aconcagua入り口に車を駐車し 一路アコンカグアへ向う

4265m 地点のベースキャンプ地へ到着(歩いて12時間かかった)

2004年12月28日  高度順化するため 600m登り またベースキャンプ地へ引き返す。

2004年12月29日  4910m地点にてキャンプ1

2004年12月30日  5380m地点にてキャンプ2

2004年12月31日  キャンプ地にて休憩

2005年1月1日    5780m地点の頂上アタック地へ 仮眠後 午前3時満点の星を確認し アタック開始。

2005年1月2日    6962m 13時30分 約10時間登りアタック成功

頂上には30分滞在後 サミットを下り5780mのアタック地へ戻る

2005年1月3日   4260m HOTELPLAZADEMALA着 シャンパンで乾杯! 

2005年1月4日   2850m 車にてサンチャゴへまで戻る   MisionCumplida!

 

Camara Chileno Japonesa
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