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広報WEB委員会突撃インタビュー“チリで活躍する日本人”も今回で第5回目となりました。今回も前回に続きJICAシニアボランティア制度にてサンチャゴに派遣されている大門正征氏(だいもん まさゆき)にインタビューいたしました。大門さんは、チリのASIMET(金属工業会)に派遣され、経営アドバイザーとして活躍されております。インタビュアーは広報WEB委員会より白倉委員、池内委員、木原委員が担当しました。 

インタビュー2006年11月18日 

大門氏:わたくしは学校を卒業してミネベアという会社に入りまして、製造部門で主に働いてきました。

I:ミネベアとはあの社長が有名な?

大:元社長が高橋高見氏です。 ベアリングが本業でして、まあ一番先端的な国際企業といいますかね、海外では先ずシンガポールに工場を出して、その後タイ、アメリカ、ヨーロッパそして、中国に工場進出したんですがね、海外の社員の方が多いような会社で、海外が4万人くらいで国内は3000人くらいしかいないんです。そこを一昨年定年退職しまして、その後、社会保険関係の資格をもっていたのでそれを開業したりしたんですが、やっぱり製造、ものつくりがおもしろいと思い、たまたま電車の中でJICAの広告をみたのがきっかけでそれに応募してパスしたのが2005年の1月でその後4月の初めにこちらに来ました。

こちらではASIMET、日本でいう金属工業会に所属しています。

I:その組合は何社くらい入っているのですか?

大:聞くところによると280社くらいですが、そこで経営管理、品質管理を主にやっております。今は工場の経営をみてほしいということで、そんなことをやっていますが・・・・ はじめはその中の8社をみてたんですよね、しかし時間的にとても見きれなくて、今はその半分の4社から5社を担当しています。

とにかく、チリの会社は色々問題があるんです(気合を入れて)が、日本とは比べものにならないですね!

圧倒的にキャッシュフローが悪くて、いっぱい在庫を持ってるんですよ、それを誰も気にもかけない。

誰も責任とらない(笑い)、そんなところがありましてね。だからまず「在庫を減らそう」と言ってます。

まあ、トップマネージメントはそういうところはわかってるんですよねぇ。金利も決して安くないですから・・・・ とにかくここに来て言われたのが 「大門さん、なんとか在庫減らしていきたい」と。

JICAから来てる私への要求書は“トヨタ生産方式を導入してくれ”ということなんですが、とてもその段階ではないですね。

全体的に工業基盤がありませんから。例えばチリでは、「いい工具が欲しい」、「いい材料が欲しい」といってもあまり簡単に手に入らないのでそこから考えないといけないし、例えば機械のセットアップといって物を作り始めるときに機械の段取をしますよね?極端な場合はそれに15時間もかかったり、日本だったら10分以内にやっちゃうんですが・・・ そうなんです。その辺からまず始めないといけなくて。  

そんなことをバタバタしながらやってるうちに、だんだん話も大きくなってきまして、以前から工場のレイアウトを変えたいと思っていたが踏ん切りがつかなかった会社からは、「大門さんが来てくれたので、この機会に工場の全面レイアウト変更をしたいのでやりましょう!」と言われたり(笑) 

いつの間にか7ヶ月経ちまして。 1年もあっという間ですね。

I:期間は2年間ですか?

大:そうです。またここは1月、2月はそんなに働かないと聞いていますが?

I:夏休みですからね

大:う〜ん そうですか。まあ早く結果を出してやりたいという焦りもありますね!焦ってもしょうがないんですが、とにかくStep by Stepで一つずつやっていこうと思っております。

I:大門さんは日本にいらっしゃった時は海外で働かれた経験は?

大:私は駐在の経験はありません。ずっと出張ベースでして。

ワインが運ばれてきたので 全員: それではここでとりあえず乾杯しましょう。 乾杯!

I:JICAのボランティア制度なんですが、競争率って激しいのですか?

大:えーっと・・それはわかりませんが、2000人で200人という話も聞いていますが、その中には身体検査がありますからね、やっぱりシニアの場合だと41歳以上、でもやっぱり僕世代が多いですし、私よりはるか上の人もいますからね。ちなみに私は61で来て現在は62ですが。 だから身体検査で大分落ちるのではないですか?

I:教えられるのは英語でなんですか?

大:はい、英語でやっています。JICAの試験というのは語学を指定されますから、私の場合は英語もしくはスペイン語。だけどスペイン語はできませんから英語で受験しましたが、来てみると絶対にスペイン語が必要ですよね。

I:そのときからチリに来られるのはわかってたんですか?希望があったとか?

大:あの〜 JICAでは国別の科目別リクエストの書いてある募集要項があるんですよ。その中で僕は“生産性向上の仕事”をやりたいと思っていましたから、そういうものをいくつかピックアップしてみると、チリにおける経営管理、品質管理というのがありまして、その中には色々要件が書いてあり、まあ学歴なんかはあまり関係ないんですが、まずは実務経験者、語学はTOEICで何点以上というのがありましたね。私はチリとコスタリカの二国を選択肢に応募しましたが、コスタリカは前任者が継続されたとのことで最終的にチリへ来たわけです。

しかし、この国ほど英語が通じない国ないですね〜。いえ〜 私も海外は色々行ってますが、南米は通じないですね〜。

I:今一緒にお仕事されている方はある程度英語が話せるのですか?

大:トップマネージメントはだいたい可能ですね。しかしカウンターパートといいましてだいたい私の相手になってくれる人はたいがいトップマネージメントですが、彼らもそんなに暇ではないので、「大門さん今日はお願いしますよ」って私にまかせてどこかへ行っちゃうんですよね。そんな場合は、現場のスーパーバイザーとかと状況をみていかないといけないんですが、彼らはまったく英語はお手上げの場合が多いですから。 ただね、技術屋同士なんで、最低限の意思疎通はなんとかできちゃうんですよ。 しかし、やっぱりスペイン語がないとダメですね。今家庭教師に来てもらってやっていますが・・・

I:話は変わりますが、キャッシュフローが悪いっても、どこかにお金があって投資ができるわけじゃないですよね?現状を改善していくとなるとどの程度悪いのかはわかりませんがすごく時間かかりますよね?

大:かかります。企業再建の場合もありますから、それは半年、1年2年の話ではないですよね。

I: そ〜ですよね〜。

I:チリの感覚でいくと、今かかわっておられる会社の経営状態はどうですか?METAL関係なんですよね?だから儲かってるとは思うのですが???

大:う〜〜ん・・・

I:我々チリに住んで日本人の目で見ていると「これはひどいな」と思うところもありますが

大:なんとか利益は上げてるようですが、マーケットは主に国内ですよね。だからあんまり国際競争がないんですよね、マーケットが小さいので。

I:でも、儲かっていなかったら、「教えてください」なんか言えないですよね?

大:う〜ん。(笑)

I:今関わっていらっしゃる会社は明らかにインベントリーがあるんですか?

大:それが年間でね、2回くらいしか回っていないんですよね。

I:そうなんですか・・・回転率が悪いんですね?

大:日本だと25回とか30回っていうでしょう。確かにはわからないんですが、海外からの調達なんですが購入資材でも相当の量を買うんですよ。「なんで買うんだ?」 と聞くと、チリはマーケットが小さいので最低これぐらい買ってくれという条件をつけられてしまうみたいなんですよ。

I:なるほど そうなんでしょうね。

I:オーナーは完全にプライベートの企業なのですか?

大:そうですね。

I:それでどこかの大金持ちのファミリーがいて?

大:それがどうも経営と資本は分離しているようなんですよね、この国では。仕事の執行責任者はG.Mですよね。

I:そうですね 

大:しかもオーナーじゃないんですよね。今8社の名刺を持ってるのですが、プレシデントという名刺は1枚だけで後はみんなGerente Generalですね。 

I: 今までのお話を聞くと、大門さんが受け持っている会社は儲けようという意思がないということなんですかね?

大:ハハハッ(笑い)

工業生産に対する見方が違うんじゃないんですかね?チリで力が入っているのは地下資源、農業や魚業とかでしょ?またこれからFTAでしょ? ある会社なんかここ3年間くらいでマーケットシェア10%ほど落としてるんですよ。7割だってこれは寡占なんですが。それが今6割というから・・・なんでだ?というとコロンビアの安値と今中国から相当入ってきているのでこのような状況になっているのです。 

I:チリは賃金が安い人は安いじゃないですか、だから人手を使うのはあまり問題にしないでしょ?

アパートなんかも一軒、一軒使用人がいたりして。

工場の労働者も単純作業の人はすごく賃金安いと思いますよ。だからあとはなぜ在庫(笑い)。 在庫がそんなにたまるのですかね? あまりそういう感覚がないんですかね?

大:う〜〜ん・・

I: 受け入れ先の人はその人でプライドがあるとするじゃないですか、そこに大門さんが来られて「これじゃ、だめだよ!」と言われると「なによ!」ということにはならないんですか?

大: 有りますよ。 年中! (笑)   

I:でもGMか社長が、コンサルタントとして大門さんに来て欲しいということでお墨付きもらってるんですよね?

大: そうです、そうです。だから僕が何をやっているかということを常にトップマネージメントとコミュニケートしておかないといけないんですよね。

I:あわなくなると  こ〜なっちゃうん(喧嘩のジェスチャ)ですよね?

大:そうそう。 申し遅れましたが、僕には前任者がいらっしゃったんですよ。

彼がですね、だいぶ悩んだようなんです。後で自分のやってたことが実は会社の方針と違うということに気づいたとかね。そういうことがあったので「大門さん気をつけたほうがいいよ」と言われていたので、私は、出勤した際と、退勤の際には必ず社長室に行って「こんな具合だよ」、「今日はこれやるよ」、「こんな問題があるんだけど」ということを報告しています。これは意思疎通しておかないと後で「何やってるの!」と言われても仕方がないですからね。問題意識は共通ですよ。

I: あ〜そうですか

大:私の受け持っている会社に「何やりたいか?」と初めて聞くと、先ほども言いましたがたいがいの会社が「在庫を減らしたいと」というんですよね!

I:倉庫に物をたくさん持っているということを自慢するようなことですよねえ?

大:それは言われましたね!今見てる会社は一番大きい会社で1300人、一番小さいのは40人の会社なんですが、ある時ね〜、「在庫も財産なんだよ!」というんですよ・・・そういう感覚ありますよね〜。確かにね、バランスシートの上でいくとそうですが。

I:お金のたくさんある時にたくさん買っておいて作るだけ作っておいて・・・

大:インフレということ関係ないんですかねえ?

だから過去にあったとすると、価値はむしろ逆にあがっているよということもあるんですかね?

I:チリにもハイパーインフレがあったんですよね?80年代とか?

大:今アルゼンチンがそういう感じなんですか?

I:アルゼンチンは2002年に爆発したというか、1ペソ1ドルだったのが、いきなり3.5とかになったり。 最近は安定してますがね。

大:やってる上で、私は工場の責任者として自分のできる範囲というのは、“鍛造は強い”とか“機械メンテナンスはなんとかわかるよ”とか、“機械加工もわかるよ”とかですが、今見ている8社は業種業態もバラバラでしょ?これはね、自分の介入できる範囲をわきまえてやってるはずなんですが、例えば「鋳造とかアルミダイキャストでこんな問題持って困ってるんだ」と聞いたり、「経営管理的にみたときにこういう改善した方がいいよ」とアドバイスしてるんですが、どうしても助けてやりたいということがある時頼りになるのは日本企業なんですよ。 そこで日本にいる友人を介して、或いは紹介をしてもらって、教えてもらうと言うことは多いです。 CNC(コンピューターによる数値制御の切削機械)についての質問などは、私の判らない分野ですから。

I:プログラムをすればいいということではないんですよねえ。

大:プログラム組んでそれを常に改善して、工具や油脂の進歩も取り込んでいくことが必要です。

I:それは、工作機械とか?あれもやっぱりうちの会社でも、マスター制度というのがあって、すごい技術に秀でた人は匠みたいに認定していくと、だから機械でも段取りとかやり方を工夫しないとうまくできないとかね、そういうのが結構あるみたいですね。機械だけど、あとは勘みたいなのでやることもあるし。

I:それは変な話ですが、JICAの要請されていることとちょっとずれるんですかね?

大:あの〜、言葉でいいますと経営管理、品質管理っていいますでしょ?僕の考えでいけばチリの為にやってやりたいという気持ちがあるんですよね。だから先方のGMがね、「大門さん、こんなところ困ってるんだけど。ここの生産性をどうしても上げたいんだけど」 といわれると、どうしてもやってあげたいと思いますし。広い範囲での仕事にならざるを得ない環境ではありますね。 2年と言う期間は決して長くないですから、応援もらうとか考えたりしてるのですが。

I:チリっていう国はあんまり自分で物をつくらない国でしょう?

大:これがFTAになると、工業社会は相当なダメージを受ける事になるんじゃないですか?

I:う〜ん 農産物と・・・水産物と・・・ 銅・・・・(笑い)

大:だから〜よく昼食時などに、「日本は1945年以降になんであんな急激に経済発展したんですか?」と聞かれるんですが。それは日本に銅はないからでしょう、我々は資源がないんだから、原料を輸入していいものを作って世界に輸出して、輸出立国しか日本には生きる道はないよと言われてきたからでそれが発展の原動力だったと思いますと答えます。この国は銅があるからいいでしょう。

I:銅がなければ大変ですよ。でも銅があとどれだけもつかですよ。

I:サーモンがある? I:サーモンだけじゃ苦しいでしょう。 サーモンとワインとか。

銅はいつまでもつんですか?

I(銅関係者):いや〜〜まだ百年、2百年はもちますよ。いいとこばっかりとっても100年はありますからね。

I:それじゃ〜心配しなくていいか〜(笑)

I:だけど、なぜこんなにJICAがお金出して人を派遣するのかな?と思うんですが

 う〜〜〜ん。

I:テーマが壮大でそんな短期間では勝負がつかないような気がするので。 私が心配してもしょうがないですが、やってる人は大変なんじゃないかなあと思って。

大:いや〜大それた話じゃないんですよ、年中言うのですが、私の仕事は私の知識と経験を彼らの頭脳にインプットするのが仕事なんですが、それ以外にも“在庫はいかんのだ”とか、“機械の段取りは10分以内でやるのが世界の標準だ”とか、“なんでも標準化という目で物をみなさい!”ということを彼らに教えているつもりなんです。多分経営者はわかっているのでしょうが、ミドルの人はこれからです。

「あの人がくればなんとかしてくれる」とか、「あの人がくればJICAがついているのでお金持っているのではないか」とか、そういう風に誤解している人もいますよ。

I:う〜ん そうでしょうね

大:でも、シャープな人はわかっているでしょうね。「大門さんはこういうことを教えに来てくれているのだとか。だから俺たちはものの管理方法をこういう風にしないといけないとか。」 少しは期待はしてるのですが・・・

I:チリの会社はユニオンなんかは強いのですか?

大:強いですね〜

短い期間ですが、一回ロックアウトにあったんですよ、出勤したら正門が閉まってて、労働者がハンマーで門をたたいているんですよ、ものすごい音ですよ。タクシーで行ったんでそのドライバーが守衛と話してくれたら裏門が開いてるからということで私はそこから入りましたが。あの時は完全にロックアウトしてましたね。

I:話変わりまして、チリに来られてからの印象はいかがですか?またチリ人のことをどう思っていらっしゃるんですか?

大:おもしろいですよ。 今の仕事、生活も!友達もできたし、どっか行こうとか誘いもあって。

でももっとゴルフができると思ったんですよ。しかしメンバーシップを持っていないとサンチャゴはできないんですね?

ここで、インタビュアーよりサンチャゴ名門ゴルフクラブから日本人が閉め出しをくらった話を少し大門さんに。

しかし固有名詞がでてくるのでカット

I:それでどうですかこちらに来ておもしろいエピソードとかありませんか?チリはどんな国だとかご存知でしたか?

大:いえ〜、さっきも申しましけど私はコスタリカとチリを応募したんですが、10人に1人という倍率を聞いていたので、まさか受かるとは思っていなかったので、合格の連絡が来てから地図をみて調べて、「チリはどこにあるんだ?」って。(笑) もっと南米大陸の西の北から南までずっとあるのかと思えば南だけなんですね。

I:ミネベアさんの時は南米の方はカバーされていなかったんですか?

大:ブラジルに航空機メーカーがあるんですよね、そこに営業オフィスはあるんですが工場はもちろんありませんから南米には来た事がありませんでした。顧客もあまりいないでしょう。北米はたまには行っていましたが。 チリについては、スーパーでチリ産の鮭が売ってるくらいで。チリの情報って日本でないですよね〜? で、決まってから「ようこそチリへ」っていう日本チリ商工会議所が出している本を紹介されたり。 あとはほんと情報をもらうには大使館行くしかないですよねぇ。

地球の歩き方もあれもアルゼンチンと一緒になってるし、

I:色々各国行かれているからサンチャゴなんて住みやすいでしょう?

大:いや〜〜いいところですよ〜。まず、気候がいいですよね〜?冬でもそんなに寒くないし、治安が悪いといいますがまだいいですよね〜?東南アジアに比べるとはるかにいいですし、アメリカにくらべてもいいですし。

それから女性もきれいだし・・(真面目に)。地下鉄って1976年くらいとかフランスからきたんですよね?

I:地下鉄の本数には驚きますよね?

大:あのピッチね〜。 時刻表がないですからね〜。

I:山手線に近い間隔できますもんね?

大:イヤーもっとですよ!私は電車好きで、電車に乗るとみてるんですが、一駅間のピッチは走っている時間でいうと50秒 から70秒。駅間の距離が短いですよね。

I:反対にがっかりしたことは?

大: 大学の学生にPPTの資料を作らせているんですが、時間守らないのイライラしますよね。今日10時から だと言ってたのに、現れたのが10時30分だったんですよ。思わず私怒鳴ったんですよ、そしたら学生から言われま したよ、「家庭でも学校でも今まで怒鳴られたことがない」って。 

  この国怒らないでしょ?企業内でも。

I:怒らない 怒らない・・

大:う〜ん あまりうまくないでしょうね。会議でもヒラが遅れてきても社長も怒らないから、悪いと思わない。

  いつまでたってもなおらないですよね・・・

大:チリって日本に対する評価ってすごく高いですよね?

I:そうですね

大:期待感。僕はマジシャンじゃないよと年中言ってるんですがね〜。やっぱりトヨタの影響と言うのは大きいですよね。本当に日本の生産技術をよく知ってるんですよ。コンピューターみてるから。 知識は持ってますよね、だけど何のために使ってどういう目的でやっているということはあまり理解してないんですよね、

大:最近つくづく思うのは日本の企業の一番すごいところはなんなんだろう?と。  対比すると日本人は器用ですよね。手先もあるし、頭もいいし柔軟性があるというか。

I:こっちの人がよく理解できないのは、「日本はなんで伝統的なものもあるのに新しいものもどんどん取り入れているのか?」っていうことみたいなんですよ。 そういうところが柔軟性なのかな?と

I:カナダにいたとき思ったんですが日本人は仕事ができないと思われるのがイヤじゃないですか、だからものすごく頑張るでしょ?でもカナダでは彼らは収入のため、家族のために仕事をしているのであって、それに満足していればそれ以上する必要はないという考えがあるのでできれば仕事はしたくないというのが絶対あって、そこではっきり日本人のもう少し頑張れよ、苦しんだから、景気悪いんだから頑張れよ、という理論は通じない。でもチリはよくわからないですね。 チリ人も一生懸命働いているのですが、もっとよくしようとかもっと効率的にしようとかいうことはしないで、一生懸命やっているように見せるというか。

大:企業社会、今言われたとおり忠誠心とかが圧倒的に違うんですよね

私、若者に話してくれとよく言われよく言ったんですよ、「この会社をエクセレントにするんだと、そうして生産性を上げて収益を上げて、会社を大きくして、皆さんのサラリーも増える、皆さんもハッピーになる!」

しかしこういう論理は通用しないんですよねぇ?

I: しない!(笑い)

アメリカと南米が違うのは下の人が這い上がれないシステムなんですよ。税金もそうでしょ?給料も大卒と高卒中卒とは全然違うのですよね。下の人は這い上がれないんですよ。 いくら会社の為といっても給料あがらないし。

大:私これ何回か言っちゃったんですよ、状況がわからなくて・・・ 「この会社をエクセレントカンパニーにしよう」と言うと、みんなきょとんとしてるんですよね〜。このロジックはこの国だめなのかな〜って聞いたら社長だから言いにくかったんでしょうね、「あまり彼らはわからないかもしれないな〜 」なんて感じで言われてね それでもうそういうこと言うのやめたんですよ。  

I:それに比べると日本はみんな平等ですよね。

I:それってとっても大事なことで、日本からものを教えに来る人が、この国ではそれは通じないということを事前にわかっていないと、思ったことができないですよねえ?JICAもそれを考えてプログラムを組まないと

大:そうそう、その通りです。

I:日本政府はこちらのシステムが悪いということをもっと言わないとだめなんですよ。だって、相続税がないんですよ!金持ちの子はずっと金持ちなんですよ

I:今のお話しを聞いているとマネージャークラスの人は親日派だから大門さんの意見ってすごく反映していい方向に向かっていくのでしょうが、その下の人がうまく成長してくれるかというのが大きいポイントですよね、

大:ま〜何やっても管理限界はあるのですが僕が育てたいのは20代、30代のマネージャー、スーパーバイザークラスですかね。 ですけど彼らがカルチャーには負けられないけど力があるかどうかというのはわかりませんから・・

I;あとは会社でそういう給料とかボーナスで実力主義とかそういうものを入れていかないと

チリの会社は大学から入った人が日本みたいに現場で何年間か実習するということはあるんでしょうかね?

大:う〜んわからないですが、ある会社でね去年サンチャゴ大の工学部を卒業して入ったエンジニアがいるんですよ、その人がすでに自分のオフィスもってててねー、驚きますよ〜。

I:ハハハッ

大:私も現場第一主義ですからね〜

I:気持ちはわかります!

大:その後で彼を呼んで話をしました。個室を持っていることにコンプレインすることはできませんから。 それで色々質問したんですが、知識の範囲が狭く応用が出来ない、それは現場を知らないからでしょうね。僕の学部では教えてもらってないとかで。 例えばコンピューター制御の機械って今出回っているでしょ?いずれはここもそういう時代がくるんですよ、だんだんスキルが落ちてくるからいずれもそういう時代になってくるんですよ、日本でいけば大卒の技術屋はそのプログラムくらいは読めますからね。日本ではどんな大学から来ても2年くらいは現場やらせましたからね〜、後から聞くとみんなよかったって言うし、私も実際現場に入りましたし、それに夜勤もしましたよ。

I;日本は実習プログラムがしっかりしていますよね?

I:もう一つ日本と違うのは改善提案とか現場から上がってくる声をどんどん表彰すること日本でやってますよね?だけどここだとそれを言うとそれなら上の人間がいなくてもすむという話につながるので、上の人間が潰しにかかってくるんですよね。その辺がもうちょっとうまく日本みたいに回れば全然よくなるのですが・・

大:改善提案なんておもしろいですよね〜。今言われたとおりで、でもここでは改善なんてトップがやる仕事だと思ってるから。

I:なんかチリの労働階級にも楽しみを持たせてやらないと 

大:できるかどうかわからないけど改善提案じゃなくて、小集団活動って日本でいうじゃないですか

I:QC活動ですね

大:そうそう、ようするに上位が出すばかりじゃないよと、下がいうものもあるよとどっかそういう感覚の持った社長がいるところ、小集団活動というんですがわかってる人もいるんですよ、多分今入れたらダメになって上がつぶしにかかるし、だけどいつかそういう可能性をチリに残してやることも僕がきた価値かなと思っております。ただし、導入するのは簡単ですが、継続していくのが大変ですよと年中いってるんですが、長続きしないことをやってもうれしくないし、やっぱり2年間いていろいろな評価もあるんでしょうが、こういうことが残ったな、その中に下から上に行く意見もあるんだなという考え方も残せればいいなと思いますが。 


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