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チリワイン講座Ⅰ


はじめに


せっかくチリに来たのだからワインを楽しみたいと思っている方は少なくないと思います。しかし、どのチリワインがおいしいのかと聞かれると、言葉につまってしまいます。ソムリエなんだから知っているだろうなんて言われるとますます答えに窮してしまいます。なぜなら個人の嗜好、ワインを飲むシチュエーションなどによって選択すべきワインがまったく異なってくるからです。ソムリエとはワインの楽しさを伝えるプロフェッショナルですが、その楽しみ方は100人100様、すべての人にこのワインがおいしいということはほとんど不可能です。チリにはたくさんの種類のワインがあり、値段も手ごろです。ワインが好きな方はとにかくたくさんのワインを飲んで自分のお気に入りのワインを見つけてはいかがでしょう。
ワインを楽しむのに知識はあまり関係ないと思いますが、知っておいたほうがよい基本的な知識もやはりあります。ワインの楽しみ方を見つけるお手伝いができれば幸いです。

ワインとは?

ぶどうの搾り汁を醗酵させて造る醸造酒のことですが、醸造法によって4つに分類されます。一般的に赤 ワイン、白ワインなどと呼ばれるワインは、スティル・ワインに分類され、炭酸ガスを含まない状態で製品化したワインのことです。また、シャンパンなどの発泡性のワインはスパークリング・ワインと呼ばれます。ちなみにスパークリング・ワインに含まれる炭酸は後から注入したものではなく、醗酵中に発生した炭酸ガスです。その他に、製造工程中にアルコール度数40度以上のアルコールを添加して、ワイン全体のアルコール分を16度〜22度程度にまで高め、味にこくをもたせ、ワイン自体の保存性を高めたフォーティファイド・ワイン(シェリー、ポート・ワインなど)、ワインに薬草、果実、エッセンスなどを加え、 独特な風味を添えたフレーヴァード・ワイン(ヴェルモット)があります。
ところで、世界中から評価されているチリのワインはほとんどがスティル・ワインです。1989年、ボルドーで行われた世界で最も権威の高いワインコンクールで金賞、銀賞を独占してから、その品質が世界的に認められるようになりました。

赤ワインと白ワイン

赤ワインと白ワインはなぜ色が違うのでしょうか。それは赤ワインを造るときに果皮をそのまま使うために醗酵が始まって3〜4日後に赤い色素(アントシアン)が、種子からは渋味の主成分であるタンニンが出る(この過程を「かもし」という)のに対し、白ワインを作るときはぶどうの果肉部分だけを使うので、 色がつかず、渋みも少ないのです。したがって黒ぶどうから造る白ワインもまれにあります。赤ワインで熟成タイプのものを造るときはかもしの期間を長くし、ライトボディの早飲みタイプを造るときは、かもしの期間を短くします。ロゼはこの中間で、かもしの過程に入って少し色づいたところで圧搾(皮や種を取り除く)する方法(セニエ法)が一般的です。

しかしながら、フルボディ(骨格がしっかりした)の熟成タイプのワインを造るには、その熟成に耐えるため質のよいぶどうを選別することが大切で、あまりぶどうの選別を重要視しないワイナリーが多いチリでは、ライトボディの早飲みタイプのワインの評価が高いのが一般的です。これらのワインはフレッシュな香りや味わいが特徴なので、長い間保存すると熟成することでその新鮮さを失ってしまい、ワインの美味しさを損なってしまいます。したがってチリのワインは貯蔵せず、購入したら早めに飲むことをおすすめします。また、最近はコルクでなくゴムでできた栓のワインを多く見かけます。このようなワインを邪道だなどといって敬遠する人がいますが、再醗酵を防ぎ、熟成を止め、新鮮さを保つためには有効な手段といえます。なので、気にする必要はまったくありません。また、まれにゼラニウムの香り(猫の尿のような香り)がして、風味を損なったチリワインにあたることがあります。これはワインの再醗酵を防ぐためにソルビン酸が添加物として多く使われているためです。日本ではワインに使用する食品添加物に規制がありますが(ソルビン酸は200ppm 以下)、チリではそれほど厳格でないのでこのようなことが起こってしまうのです。このようなワインにあたったらそのワイナリーのワインは買わないようにするのが賢明だと思います。


【会報2002年187号掲載 筆者 齊藤 貴臣氏】

Camara Chileno Japonesa
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